【シスフレ日記Vol.106】インボイス制度運用開始~EC-CUBEの場合~

2023101日よりいよいよ運用開始となったインボイス制度。ここ数か月はニュースでも頻繁に取り上げられていましたね。たくさんのECサイトの運用をお手伝いしている弊社の社内でも今年に入ってからは毎日のように「インボイス対応」という言葉を耳にしました。

 

インボイス制度とは?

正式には「適格請求書等保存方式」といいます。一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を売り手が買い手に発行し、双方が適格請求書を保存することで、消費税の仕入税額控除が適用されるようになります。インボイスを提出しなければ仕入税額控除が行えなくなるため、支払った消費税の税額分の控除を受けることができず、結果的に国に納付する消費税額が増えることになってしまいます。また、インボイス制度が施行されると、従来表示されていた取引年月日や取引金額に加え、請求書に「適用税率」「消費税額等」「登録番号」の記載が必要になります。
(インボイス制度についてこちらも併せてご覧ください。)
 


インボイス制度の運用開始にあたり、EC-CUBEではどのような対応が必要だったのか、弊社のエンジニアに話を聞いてみました!



―「適格請求書」というくらいですから、請求書の変更が必要になりますよね?

EC-CUBEには請求書がないのです。BtoCECサイトでは商品を発送する前にクレジットカードなどで決済しているので、請求書は送付することはなく、納品書を商品と同梱してお客様に送付することが一般的です。そのためEC-CUBEでは納品書の印刷機能のみ存在しています。このようなケースでは納品書をインボイスとして扱うことができます。EC-CUBEの最新版、Ver4.2の納品書はインボイス制度に対応したものになっています。BtoCのお客様は一般消費者なのでインボイスでなければ取引できないということは少ないのですが、当社ではBtoBサイトの支援が多いのでインボイス対応が忙しかったという事情もあります。



―以前のバージョンのままインボイス制度に対応させることはできないのですか?

できます。Ver4.2以前の納品書には税率ごとの税額が表示されていませんでした。適格請求書では、税率ごとの支払合計額に加えて 8%対象10%対象それぞれの税額を記載する必要があるので、そのあたりの表示を増やす必要がありました。また、表示だけでなく計算ロジックを修正する必要があります。これらをソースコード上で変更するポイントをEC-CUBE工房のなんでも相談室で詳しく解説していますのでそちらもぜひご覧ください。



―インボイス対応で大変だったことはありますか?

・帳票をカスタマイズして種類を増やしているサイトもあるのですが、予定していなかったレイアウトを変更せざるを得なかったり、そのような対応を緊急で実施しなければならなかったり、結果、過去に作った自分自身と格闘することになりました(笑)

 

・債権譲渡型の決済サービスに合計金額だけを連携していたところを、インボイスの代理交付に対応するために、全ての明細を連携するように改修することが必要になってしまい、決済プラグインを作り変える大工事になってしまいました。

 

・お客様も新しい制度に戸惑われていることもあり、様々なご要望がありました。システムの仕様上、すべてのご要望にお応えするのが難しかった部分もありましたが、しっかりとヒアリングをおこない、お客様に納得いただける対応ができたのではないかと思います。

 

 

 

エンジニアにとっては大変なこともあったようですが、無事に運用開始となりホッとしたようです。インボイス制度自体は明確でも、お客様ごとに独自のカスタマイズがあるので(独自カスタマイズを行えるのがEC-CUBEの強みです)、しっかりと対応させていただきました。ECサイトのご相談があれば、EC-CUBE工房 からどうぞ!


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