越境ECセミナー登壇

朝山です。先日10/26に株式会社ロックオンさんの主催の越境ECセミナーにパネリストとして登壇してきました。(https://www.lockon.co.jp/release/6386/)

と言いながら、実は越境ECサイトというものは作ったことがないです。

その理由は後で説明するとして、どんなサイトなら作ったことがあるかと言いますと、インバウンド向けサイトとか、BtoBの海外向けサイトなどです。インバウンドはここ数年、とても流行している言葉ですね。海外からの観光客向けのサービスを指しているのですが、インバウンドという言葉だけ聞くと、コールセンターの話かと思ってしまいます。


インバウンド向けでどうやってECサイトが成立するのか、イメージわきますか? 実はいろいろなサービスがありますが、国内に住んでいる私たちは使わないですし目にすることが少ないです。

逆に海外旅行に行くとその国のインバウンド向けサービスを目にします。現地に着くと日本語で書かれた無料のガイドブックなどをもらうことがあると思います。そこには現地のお店とかサービスの宣伝がいろいろ掲載されていますよね。同じように、訪日観光客向けにもそれぞれの言語で作成された無料のガイドブックがあります。日本のガイドブックの中身をじっくり見たことがないかもしれませんが、旅行者が手にされているのを目にすることがありませんか。そこには観光客に向けてのサービスがいろいろ書かれていて、そこにはいわゆるインバウンド向けビジネスがあります。

弊社で初めてEC-CUBEで多言語サイトのお手伝いをしたのは、そういうガイドに掲載されているインバウンド向けサービスでした。2010年ごろでしたから、訪日客のことをインバウンドと言ったりはしていなかったと思います。

そのサイトのメインのサービスはスーツケースをホテルや空港にお届けする運送業でした。そのサイトで日本のお土産を販売して、空港にお届けするようにしたところ、人気が出たそうです。なかでも冷凍のお寿司が人気で、どうやら空港で受け取って、帰国されてすぐに家族と食べたいと思って購入されるようです。そのほか大きな皿や壺など重量のある品も空港渡しが都合が良いようです。免税店なども、ECサイトで注文して空港で渡すというサービスをされているところがあります。

他にも、日本で使えるSIMカードの容量追加サービスなどもお手伝いしたことがあります。これも旅行代理店やガイドブックと切り離せないインバウンド系サービスです。

このようなインバウンド向けサービスは2020年に向けてどんどん増えてくるのではないかと思います。こういうケースではEC-CUBE3はsilexベースなので、EC-CUBE2よりは言語差し替えなどやりやすいです。

とはいえ、本格的に越境ECといえば、日本のサイトに外国からアクセスがあり、EMSとかで海外に発送するというイメージなのではないかと思います。弊社でもしばしば相談いただくのではありますが、なかなか実際のサイト構築には至りませんでした。その理由なのですが、越境ECそのものはある程度順調に成長すると越境ECではなくなってしまうからだと思っています。

日本から発送して外国の注文者に商品を届ける場合、送料が問題になります。それでも、日本のECサイトでしか手に入らない商品であれば成立します。もしそういう商品に継続的な需要があるとしたら、本格的越境ECとして整備するというよりは、相手先の国に代理店を作って販売したほう輸送効率がよくなります。そうなると越境ECじゃなくて普通の輸出です。そういうわけで越境ECと言っている間にはECサイト整備の予算はそれほどなく、売上ができて予算が出るところまでいけば本格的に輸出ということになり、ECサイトを作るとすれば現地の代理店の仕事になります。

越境ECの相談の際に、カスタマイズのコストや運用のコストがしばしば問題になります。最初は、国内向けサイトと言語切替ボタンを作って全く同じ仕組みで、海外出荷ができるサイトを作りたいという要望なのですが、運用を考えてみると、デメリットも大きいことに気が付きます。受注をまとめて納品書を印刷したり、B2とか飛伝とかにデータを送るという運用をされていることが多いと思いますが、一部だけはinvoiceを印刷してEMSに出すとかしないといけなくなります。ほかにも郵便番号や都道府県があったりなかったりなど、受注をまとめて処理しにくいいろいろな要素があり、私の考えでは、国外向けは国内向けとは別にサイトを作ったほうが都合がいいと思います。

 

その点、転送コムさん(http://www.tenso.com/)のサービスはとても現実的だなと思いました。tensoさんは、外国人のお客様の代わりに荷物を日本国内で受け取って、まとめて外国に発送してくれるというサービスになります。tensoさん経由の場合、ECサイト側では海外向けの特別な作業をする必要がありません。お話を聞いたところ、いったん日本で荷物を受け取って開梱して、荷物もまとめて、invoiceを作って送ってくれるそうです。

マシュマロの「やわはだ」さん(http://sanpasta.ocnk.net/)は、SNSで人気爆発して海外からの注文が増えて、最初はEMSで送られていたそうですが、手間が大変なので現在はtensoさんを使ってくださいということになっているそうです。

マシュマロ

これ、やわはださんからもらったマシュマロです。こんなことを書きながら、マシュマロは関係ない。本文には関係ない。という歌詞を思い出しました。でも本文に関係ありますw

やわはださんのサイトの海外の注文者向けの説明ページが良くできています。(http://sanpasta.ocnk.net/page/29) たくさんの問い合わせをもらいながら整備したそうです。参考になります。

結論としては、狙って越境ECというよりも、SNSなどで種を撒きつつ、もし注文が入ったら転送コムさん経由で買ってもらうというところからスタートするのが良いと思います。またお客さんが米国ならpaypalが使えると安心してもらえるというところはあると思います。